野球の動作は力の伝達しだいでパフォーマンスが変わる
昨今では、ビデオや動作解析が一般的になっているため、とにかく見た目を重視する傾向にあります。
調子の良かった頃のフォームや、優秀な選手の真似など、力の伝達の概念を無視してしまったバッティング理論が横行しています。
体の内部で力の発揮や伝達ができていないにも関わらず、形だけ真似ようとしてもそれはパフォーマンスの向上に繋がりません。
野球選手の動作は、一つの筋肉化や一つの塊の筋肉で実現できるわけではありません。
また、筋肉だけでも意味はなく、骨や関節、内臓、神経などが総動員して実現できています。
それらの各部を力が伝達しながら、増幅したり、減少したりしながら伝わっています。
つまり、
野球選手にとっては一つの筋肉を鍛える以上に力の伝達を考える方が大切
だということです。
筋肉は、その動作の過程で必要な分つけるぐらいが適切です。
むしろ筋肉を鍛える行為は力の伝達を妨げる行為なので、よっぽど適切な知識を持っていなければ危険な行為です(『野球選手は「強さ」の定義を明確にしなければいけません。』)。
さらに、フォームを外見だけで判断することの根本的な危険性があります。
それは、
100人の野球選手がいれば、100人の個性があり、100通りの身体の造り方があること
です。
「人間」という括りは同じでも、力の伝達方法は100通り存在します。
そのため、同じフォームは二つと存在しません。
さらにこの考え方を広げていけば、
昨日の自分と今日の自分も細胞レベルで言えば全くの別人
だということです。
それが日がたてばたつほど異なってくるのは当たり前のことです。
つまり、
過去によかった時のフォームを仮に実現できたとしても成功が約束されているわけではない
ということです。
むしろ失敗する確率が高まるでしょう。
そのため、人間である以上、常に自分の今の身体にあったフォームを探し続けるしかありません。
例えばバッティングを良くしたいのであれば、フォームに注目するのではなく、根本的にバッティングにおいて大切なことを考える必要があります。