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ゴロを正面で捕ってもアウトにならなければ意味がない ~ブンデスリーグ「ケルンカージナルス」/片山和総氏インタビュー~

ドイツのプロリーグ「ケルンカージナルス」/片山和総氏インタビュー

大人気のADLIFE INTERVIEWがとうとう国境を越えました。

なんと本日は、「ドイツ」の「ブンデスリーグ」、「ケルンカージナルス」で活躍中の 片山和総(かたやまかずさ)選手 にインタビューすることができました!

「ブンデスリーグ」は日本人の選手には馴染みが薄く、実状を知らない人がほとんどでしょう。

日本国内を離れ、異国の地で野球(ここでは「ベースボール」と言う方が正確かもしれません)に触れることで、日本の「野球」の捉え方に変化があったようです。

これからの野球人には様々な選択肢があり、野球人である前に人としての成長も必要になってきているのを強く感じました。

賭博問題や、薬物問題などで揺れる野球界ではありますが、選手単位では成長を求め、前へ前へと着実に進んでいます。

野球界は確実に大きな変化が起きる時代に突入しています。

片山選手の一つ一つの言葉からその時代の変化を感じてください。

語り手:片山和総氏(ケルン・カージナルス)
聞き手:大竹一彰(株式会社ADLIFE)

片山和総氏1

日本の管理野球に嫌気がさした

片山和総氏2

-ドイツリーグに参戦するまでの野球経験を教えてください

野球を始めたのは中学の部活に入ってからで、小学生の頃は3年生から地域のソフトボールチームに所属していました。

通っていた中学校はマンモス校だったので部員数も多く、公式戦では3年生しか出場できないという方針により、最上級生になるまでほとんど試合に出た経験はありませんでした。

部を卒部した後、福岡県選抜に選んで頂き、全国大会で優勝した経験もあります。

中学の部活では主に投手、遊撃手として、福岡県選抜では遊撃手、二塁手、三塁手、左翼手として試合に出ました。

高校は「東福岡高校」に進学しました。最後の夏の大会ではベンチに入ることもできませんでした。

大学は帝京大学に進学し、準硬式野球部に入部しました。大学時にも様々なポジションを経験し、中学・高校時代も含めれば、全てのポジションで試合に出場した経験があります。

-なぜドイツリーグで野球を行う道を選んだのでしょうか。

始めは大学で野球人生を終えようと思い、就職活動をしましたが、本当にやりたいことは何か見つめ直したときに、まだ野球がやりたいと思い、「野球」を続ける道を模索しました。

そのとき頭に浮かんだのが、中学時代の恩師が「ドイツ」の野球と繋がりがあるということでした。

すぐにその恩師に電話すると、現在所属している「ケルンカージナルス」に連絡を取って頂いて入団が決まりました。

なぜ国内ではなく海外を選んだのかというと、日本の野球の「指導者絶対主義のシステム」にうんざりしたことが大きかったです。

また、野球発展途上のドイツで自分の実力を試すと同時に、野球の発展に携わることができたら野球人としてすごく魅力的な環境だと感じたという理由もあります。

ゴロを正面でとっても「アウト」にならなければ意味がない

片山和総氏3

-ドイツの野球と日本の野球の違いを教えてください。

ドイツは野球において発展途上な部分が多いので、経験してみると、日本の野球が洗練されたものだと感じることができます。

それは「技術面」においても、「戦術面」においても、まだまだ大きな差があると感じます。

日本に来て野球をしたことがあるチームメイトが言っていたことで、日本の野球の不思議な一面を物語っていたものがありました。

それは、シートノック中にノッカーである先生がスイングしたバットに、キャッチャーの選手が接触したことで、選手が怒られているのを見た時に衝撃を受けたというものです。

日本の野球経験者であれば日常の光景ではないでしょうか。

しかし「ドイツ」に限った事ではありませんが、世界的には「縦社会」という概念がありません。

そのため、「選手」が「コーチ」にも遠慮なく意見します。

そういった意味では日本の野球は監督、先輩の言うことは絶対で自分で考えるより駒のように動くことが部活という環境で生き残る術のようになっています。

それは野球人以前に人としての成長の弊害になっているのではないかと思います。

だからといってドイツ人が野球についてよく考えて動いているかと言われたらそういうわけでもないのですが、「自分で考える」という癖付けは必要なのではないかと思います。

そして、球界的にも「自分で考えて行動する環境」を整える必要があるのではないでしょうか。

ただ、その「縦社会」も悪いことばかりではなく、目上の人を尊敬する心だったり、礼儀作法というものは、ともて美しいものであると「ドイツ」にきて感じました。

-ドイツの野球選手からみて日本の野球選手の不思議なところ(良い意味で野球感がかわったところ)を教えてください。

日本人は形や過程にこだわりすぎている節があると感じました。

例えば日本ではゴロは正面に入って体で止めるのが基本です。

逆シングルで後ろにそらすのは駄目とされますが、「ドイツ」では、どんな形であれアウトをとることができれば問題ないです。

むしろ「アウト」になる確立が一番高くなるプレーを追求します。

体で止めてもアウトにならなければ意味がありません。無理に上から投げる必要もありません。

「ドイツ」はプレーの質自体がついてきてはいないものの、今の日本の野球がベストとは考えずに、大きな変化を合理的に考えてみるのも良いな、と思うようになりました。

正面に入ってゴロ処理をする練習をしてもアウトが取れなければ意味のない練習をしていることになります。

それなら逆シングルの練習をした方がよっぽどアウトを取れる可能性があがります。

形、過程にこだわり過ぎて結果が伴わないのは良くないなと思いました。

—反対に、ドイツの野球を経験した上での、日本の野球の素晴らしい所を教えてください。

やはり日本の野球への取り組み方は素晴らしいと思います。

日本の野球を経験してきた自分にとって、海外の野球はメリハリがなく、道具の扱いも雑だったり、たまに見ていて気分が悪くなることもあります。

日本の野球は「一生懸命」で「真面目」で「綺麗」で「美しい」と思います。

その真面目さは「管理野球」が生み出したという皮肉なところもありますが。

基本的には、日本の取り組み方は素晴らしいのは間違いありません。

自分も日本の野球を経験した後に海外の野球を見たという順番が良かったです。

-現在の課題、それへの取り組み方、そして今後の方向性について教えてください。

現在の課題はコミュニケーションです。自分はほとんど「英語」も「ドイツ語」もできません。

「ドイツ」の野球はまたまだ発展途上なので、連携などといった様々なことを伝え、教えたりすることができないというもどかしさがあります。

あとは「木製バット」、「硬球」、「天然芝」に早く慣れることです。

さいごに

海外の野球はイメージ通り、「雑、いい意味で適当、くよくよしない、大胆、」ということが当てはまっているようです。

反対に日本の野球は、「細かい」、「自由がない」、「管理野球」、というようなイメージが当てはまっているようです。

これは前回インタビューした元メジャーリーグのスカウトマンである池田豪氏もおっしゃっていました(『元メジャーリーグのスカウトマンに聞く”日本の野球の変な所” ~池田豪氏インタビュー/WAMPERS~』)。

ただ、その「管理野球」の影響もあって、「道具を大切にすること」、「挨拶などの礼儀」、「年上を敬う心」といった海外に誇れる文化を作っていることも感じ取れます。

インタビュー内容を見ていくと、海外の野球の良いところ、日本の野球の良いところが見えてきます。

海外は管理されないために、自分で考えなくてはいけません。

様々な場面において、自分で考え行動できるようになる反面、自由すぎて収拾がつかなくなるということも考えられます。

反対に日本の野球は細かい野球であるために、大きなミスなどを減らすことができています。

しかし、「自分で考える」という能力が低下し、ロボットのように言われたことしかやらないようになってしまうということが考えられます。

日本の野球選手も徐々にではありますが、海外の野球を体験することで、日本の野球の「良い面」と「悪い面」が見えてきています。

日本の野球界は様々な問題で揺れているものの、現場レベルの選手達は、次々と自分で考える意識をもった選手達が生まれていっています。

片山選手のような突き抜けた決断力を持った若手がどんどん排出されるような国になってくると、日本の野球界の未来も明るいものとなると確信できました。

そんな野球界に取り残されないように、「自分で考え、検証し、行動する」癖付けをしましょう。

指導者の立場にある人間は、日本野球の良さを残しながらも、選手たちが自発的に考える環境を整えるにはどうすればいいのかを考える必要があるでしょうね。

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