野球選手に「腹筋」と「背筋」が必要なのはなぜ?
野球選手というのは「腹筋」を鍛えるのが大好き(?)です。同様に、「背筋」も鍛えるのが大好きです。
さらにはスポーツ選手だけに関わらず、大切であると言われることが多いため、「鍛える」となるとまず第一に「腹筋」や「背筋」を鍛えるケースが大半です。
また指導者も同様に、「体幹」のトレーニングとして積極的にトレーニングメニューとして採用します。
しかし、ここで一つ考えて頂きたいことがあります。
「腹筋」と「背筋」が大切なのはなぜでしょうか?
トレーニングをする人がたくさんいるのに、この質問に答えらえる人というのは極端に少なくなります。
「腹筋」や「背筋」が大切であることは否定しませんが、その大切な理由が分からないままトレーニングするということは、自動車のブレーキが何の役割か理解せぬまま自動車の運転をしているようなものです。
これって馬鹿げたハナシですよね?
ぜひこの機会に「腹筋」と「背筋」について適切な知識を身に着けておきましょう。
「背筋」は「腹筋」より強くならない?!
では、「腹筋」と「背筋」について学んでいきましょう。
まず、
「背筋」はどんなにトレーニングをしようとも「腹筋」よりも強くなることはない
ということをご存じでしょうか?
一つ例外があって、「腹筋」と「背筋」を体から採取し、それぞれ体から離した状態で、トレーニングをさせたときに限っては「背筋」のほうが強くなることはあります。
しかし、通常は体の一部としてトレーニングをするため、こんなケースを考える必要はありません。
つまり、
「腹筋」よりも「背筋」のほうが絶対的に弱い
ということが言えます。
これは、人間が恐怖や危険を感じた時に、体を丸くする特性を発揮するための機能があるからです。
何かびっくりしたりしたときには腹筋が強くなり体が丸くなり、防御するように反応するためです。
これが人間として自然な状態です。
「腹筋」や「背筋」を鍛えても身体は安定しない
「腹筋」や「背筋」を精力的にトレーニングすると身体が安定すると言われていますが、これは全くの迷信です。
確かめる方法は簡単で、「腹筋」と「背筋」に可能な限り力を入れて投球やバッティングをしてみてください。
スムーズにできるでしょうか?
想像だけでも分かる程、全くできないはずです。
人間の「運動」や「動作」はリラックスした状態からでないととできないようにできています。
つまり、「腹筋」や「背筋」も緩んだ状態から動くことが、一番自然に動けるということです。
それなのに「腹筋」や「背筋」をトレーニングしています。
矛盾していますよね。
野球選手に必要な「強さ」とは何なのか
さらに野球のケースで言えば、「下半身」からの力を適切に「上半身」に伝達する役割を果たす部位が「腹筋」と「背筋」です。
「腹筋」や「背筋」で力の伝達を寸断しないよう自由に動きたいところなのですが、「腹筋」や「背筋」を固めてしまうという行為は、力の伝達を遮断してしまう行為です。
野球選手に必要なことは、単純なパワーではなく、「動作」の中で最大のパワーを発揮することです。
打者で言えば、バットでボールを捉えるインパクトの瞬間に100%の力をぶつけることです。
筋肉があると力強く打てそうな気がしますが、「筋肉」をつけたからといってインパクトに100%の力をぶつけられるわけではありません。
「腹筋」や「背筋」というのはとても大切な筋肉です。
しかし、「筋トレ」によって鍛えるという意味での大切さではありません。
「大切=鍛える」、こんな解釈になっていませんか?
大切なのであれば、「どんな風に大切で」、「どんなことをしてあげたらいいのか」ということをしっかり考えた上で、良くなるようなベストな方法を選択してあげてくださいね。
もちろん「体幹=腹筋・背筋」ではありません。(『「体幹トレーニング」の「体幹」ってなんのこと? ~本当の「体幹」を鍛える唯一の方法~』)
間違った教え方をされている選手の皆さんは気をつけてくださいね。
もし鍛えろと言われた時は、「何故大切なのですか?」と聞いてみてください。
恐らく何もかえってこないでしょう。