動体視力を鍛えたら打てるようになるという嘘
皆さん、動体視力って鍛えてますか?
昔で言えば、
打撃の神様こと川上哲治氏はボールがとまって見えていた・・・
イチロー選手が自動車の中からすれ違う自動車のナンバーを読み取って動体視力を鍛えていた・・・
なんて話がよくありました。
そのためなのか、指導者からよく、
ボールをよく見ればいいんだ!目が良くないと打てない!動体視力がないから打てないんだ!
なんて言われたりしてないでしょうか。
はたして、動体視力って鍛えたら打者としてのレベルがあがるのでしょうか?
確かに、平均または平均値のややそれ以上はスポーツ選手であれば必要かもしれません。しかしモノを”しっかりと見る”ことによる弊害ってあるのご存じでしたか?
モノをしっかり見ると打てなくなる?!
モノをしっかり見ると、人間の身体は以下のような反応を示してしまいます。
- 体の緊張を生む
- 身体は緊張すると動かなくなる
- 緊張するとスムーズな動きにならない
- 打つ事よりも見ることに意識が行ってしまい振れない etc…
優秀な打者に、ボールを打つ際、ボールをよく見て打つ打者はいません。
優秀な打者がバッティングする際には、まず常に全体をぼんやり見て、投手の小さな癖や、野手のポジション、などといった情報を脳に認識させます。
次に、その状態から投手の投球フォームから、ボールの軌道と球種を予測します。
その予測をした上で、やっと初めて”少しの”技術を用いて、バットのコントロールとスイングの強さを調整してボールにぶつけていきます。
つまり、どこにもじっくりとボールを見る瞬間はなく、なんなら巷で言われるよな「技術」といった類のものは介在していません。
このことは、みなさんもよく感じていることがあると思います。
空振りする時は事前に分かっている
よく振り返って考えてみてください。
バッティング時に空振をする際、
「あれ?なんで空振りしたの??」と空振りすることよりも、「だめだ・・・空振りしてしまう・・・」と空振りするよりも前に「空振り」を認識していることの方が多くありませんか?
これは、予測していたボールに対して振りに行ったのにも関わらず、明らかに見当違いのボールが来たためスイングを半分諦めて空振りしている状態です。
これは意識下での予測ではなく、無意識下での予測の話ではあります。無意識下では、打てるときも打てないときも予測をして振っているということです。
でもこれって冷静になって考えてもらえたらご理解頂ける話だと思うんです。
投手と打者までの距離が17mほどしかなく、そこを通過するボールのスピードは140km/h前後、ボールは小さく、あんなに細いバットを使って打たなくてはならない条件があります。
その条件下において、「視覚で認識」し、「脳や脊髄に伝達」し、「運動神経へ刺激」が入って「実際に動作を起こす」というのは不可能に近いのではないでしょうか。
動体視力も同様で、それを鍛えたからといって何か特別ものすごく変わるのかというと、それは間違いなくないですね・・・何かとても悲しいお話しですが・・・。笑
こんな合理的な考え方をすると、野球の練習の仕方、というのがどんどん効率的に変わっていきそうですね♪こんな考え方が広まっていく野球界を夢見ると、楽しみになってきます。