体幹てどこのことか知っていますか?
野球の練習を見ていると、「体幹トレーニング」と称して、「腹筋」や「背筋」のトレーニングを行っていることを良く見かけます。
しかし、「体幹」って何を指すものがご存じですか?
野球界の現状を見れば、適切に捉えてらっしゃる方はほとんどいないと推測できます。
「体幹」とは「腹筋」や「背筋」だけを指す言葉ではありません。
つまり「体幹」を鍛えたいなら練習として不十分であるということです。(今はやりのサッカー選手のトレーニングなんかもです。)
「体幹」という言葉はもっと広く、厚みがあります。そして中身までもあります。
それなのに、「腹筋」、「背筋」というごく表面的な部分しかトレーニングしていません。
おそらく「体幹」で言う所の、10%程度を体幹トレーニングと言って行っています。
体幹とは、
鎖骨から肩甲棘を結ぶ線から下方、上肢下肢を除く部分
の事を指します。
つまり、腕の付け根から内側、足の付け根から上側、首から下のことです。
「体幹」トレーニングを本当にやりたかったら
それでは本来の意味での「体幹のトレーニング」とは何を指すのでしょうか。
体幹の一番上にあたるのは、「胸郭上口」です。一番下にあたるのは、「骨盤下口」です。(細かい部分はお調べください)
そして、その間には、「肋骨」があり、その中には「心臓」や「肺」もあります。
さらにその下には「横隔膜」があり、そして「肝臓」、「胃」、「腸」、後方には「腎臓」、「膀胱」、女性であれば「子宮」も含まれます。
これらの外には「筋膜」の袋があり、そして「骨格筋」、「脂肪」、「皮膚」というようになっています。
「体幹トレーニング」というのであれば、これらを満遍なく、全体的にトレーニングする必要があります。
では、この「胸郭上口」から「骨盤下口」に至るまでを、しっかりと動かせるようにするにはどんなことをしたらいいのでしょうか?
実は方法は一つしかありません。
それは、
横隔膜の上下運動をすること
です。
この横隔膜の上下運動によって、胸郭上口付近の筋肉、骨盤下口付近の筋肉が活発化します。
それではこの横隔膜の上下運動というのはどうすれば行うことができるのでしょうか。
理科の授業で習いましたよね。
それは「呼吸」です。
この「呼吸」によって
骨格筋から体幹の深部、つまり内臓が入る部分まで鍛え上げることができる
ということです。
横隔膜から上部の圧力を高めることによって、胸郭上口への動きを促進し、横隔膜から下の圧力を高めることで骨盤下口周囲までの動きを促進させることができます。
これが本当の「体幹トレーニング」であり、本当の「体幹」を鍛えるための唯一の方法です。
「体幹」だけに関わらず、自分が鍛えている部分は何のことで、何のためにやっているのかを理解していなければほとんど意味がありません。
そして、それは人から伝えられることが真実だとも限りません。
しかし、常に答えはあなた自身にあります。これは文字通りあなたの身体に聞けば分かることです。
ぜひこの機会に「体幹トレーニング」の概念を一新し、新しい訓練方法を模索していきましょう。