筋肉はつけると故障リスクを高め、筋肉がつくと故障しにくい

筋肉を「つける」と故障しやすくなる理由

では、「筋肉」と「関節」の働きを理解した上で、「筋肉」が発達していく過程をみていきましょう。

仮に、見せるための大きく肥大した筋肉をトレーニングでつけたとしましょう。

いわゆる「つけた筋肉」です。

ふくらはぎの筋肉や腿の裏の筋肉を異常に発達させたとしましょう。

その状態で正座をするとかかとがお尻につきません。

かかとがお尻につかなくても、体重は常に重力方向にかかります。

すると、膝の関節の前方は、テコの原理によって「乖離(かいり)する」力が働きます。

これは関節として正常な動きではないため、異常信号を脳に伝えます。

すると、脳は関節を守るために関係する筋肉に異常な動きをそれ以上にしないよう「硬くなれ」と信号を送ります。

脳の指令に筋肉は従い、硬化してしまいます。

筋肉が硬化すると関節運動が制限され、制限されると再び筋肉が硬化するという負のスパイラルに陥ってしまいます。

そして大問題なのが

筋肉と関節の関係性は意識して動かすことができないこと

です。

本日の記事に記した内容は、身体が防衛本能として意識するまでもなく働いてしまっています。

つまり、我々には負のスパイラルと意識的に阻止することができません(仮にできたとしたらすぐに故障しますが)。

その結果、野球選手に必要なパフォーマンスの向上は望めず、むしろ故障するリスクを高めてしまいます。

筋肉は関節に適応した形の筋肉量しか必要ありません。

無理に「つけた筋肉」は不要で、動作の中で自然に「ついた筋肉」が理想的です。

また「動作」の中で「ついた筋肉」ではなく、「つけた筋肉」は「動作」の中で使われないため簡単に落ちてしまいます。

野球選手は野球選手である限り何のために筋肉をつけるのかを考えなければいけません。

ホームランを打つための筋肉が必要ならば中学生レベルのスイングスピードがあれば、あとは技術しだいです(『ホームランの打ち方』)。

本日の記事は少し専門性が高いので難しかったかもしれませんが、とても大切な知識なので繰り替えし読んで理解しておいてください。

特に指導者や保護者の方には確実に知っておいて欲しい知識です。

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