バッティングにおいて「前を大きくスイングしろ」というアドバイスは無意味
指導者がバッティングをしている打者に向かって、「前を大きくスイングしろ」という指導をしている光景を良く見ます。
これは間違いのない事実で、力強い(良い)スイングをしようとすると、人間の身体を考えれば前が大きくなるスイングをするべきです。
しかし、このアドバイスには大きな問題点があります。
それは、
良いスイングとは、前を大きくしようとして大きくするものではなく、良いスイングだから結果的に前が大きくなるものだから
です。
簡単に言えば、前を大きくスイングしようと意識した所でどうしようもありません。
では、どのようにすれば、「前が大きなスイング」を実現することができるのでしょうか。
この答えは、野球選手にとってあらゆるトレーニングをする上で大切なことになってくるので勉強しておきましょう。
前が大きなスイングを実現する方法
「前が大きなスイング」を実現するためには「前を大きく振る」意識を強く持っても実現することはありません。
本来の自分の身体にあったフォームを崩すだけです。
意識をしてもどうにもならないことを解決する方法はただ一つです。
それは、
変えたい動作の前段階(準備段階)に変化を与えること
です。
つまり、バッティングで言えば「構え方」です。
「構え方」を変えることで、結果的に「前が大きくなるスイング」に必然的にならざるを得ない状態にするしかありません。
ただし、「構え方」に関しては、人それぞれに適した形が存在しているため、画一的なことを伝えていては意味がありません。
そこで、指導者は本来、一人一人にあった形で「前が大きくなるスイング」を結果論的にできるようなバッティングフォーム(構え方)を提示してあげなくてはいけません。
「前を大きくするように」と言うだけは簡単で、「前が大きくなる」ために何が必要なのかを考えなければいけません。
選手も「前を大きくするように」というアドバイスをもらって無視しているわけではありません(無視している選手もいると思いますが)。
大半の選手は、必死に言われたことを実現しようと努力しています。
しかし、それでもできないから目の前の結果が続いているわけです。
だとしたら根本的な所から改善する必要があることに早急に気づく必要があります。
なぜ意識して前を大きくスイングすることができないのか
ちなみに、なぜ意識をするだけで「前を大きくスイングする」ことができないのでしょうか。
この原因は、
スポーツ全般において、行われる運動の大半が無意識下で行われることだから
です。
実際のプレー中は無意識下で行っていることを意識して行おうというにはどうしても無理があります。
無意識で行っても望んだ結果が生まれるようにしなければなりません。
例えば、「テイクバック(予備動作)を大きくとること」は「前を大きくスイングする」ことの妨げとなっています。
これは人間の身体の構造を考えれば必然的におこってしまうことです。
つまり、
前を大きくスイングしたければ、テイクバック(予備動作)を小さくする(無くす)
ことが重要であるということです。
このテイクバック不要論に関しては書籍にまとめてあるので、そちらをご覧ください(『「テイクバックはいらない」がこれからの常識 ~テイクバック不要論【理論編】』)。