専門家が言う「左右対称」に鍛えることは正しいのか?
とあるトレーニングの専門家が、野球チームのトレーニングを見ていました。
彼は
人間の体は「左右対称」に構造されているのだから、「左右対称」にトレーニングする必要がある
と教えていました。
「打者」も「投手」も野球選手は、かたよった体の使い方をする競技なので、反対の動きも取り入れて「左右対称」に鍛えるべきであると教えていました。
さて、この教え方は正しいのでしょうか?
一見、正しいように感じるかもしれませんが、簡単におかしい所を指摘することができてしまいます。
それは、
そもそも人間の体は「左右対称」にできていない
ということです。
あなたの「心臓」は真ん中にあるでしょうか?
「腎臓」は、「肝臓」は左右対称にあるでしょうか?
しかし、学問的には「筋骨格」系は「左右対称」であると教わります。
そのため、表面上を学んでしまうと、「人間の身体を左右対称に鍛えるのがいい」というハナシになってしまいます。
ここはしっかり検証して考えていかなければなりません。
人間は「左右対称」でないことが自然です。
「左右対称」が良いという専門家は何の専門家?
専門家と称する方々は、各分野に沢山存在しています。
しかし、その専門家と呼ばれる人たちは、何をもって専門家いうのかの明確な線引きはありません。
また同時に、様々な資格も存在しています。
ただ、資格にも、「国家資格」があれば「民間資格」まで存在しています。
ちなみに、「医師」とは何の専門家でしょうか?
「体」を全て知っている人のことでしょうか。
また、「弁護士」は「法律」を全て網羅していると思いますか?
中々、完璧に網羅することは当然のことながら困難なことでしょう。
「医師」に関して言えば、「内科」の先生であれば、「内科」のことはよく知っているかもしれません。
しかし、「整形外科」については、詳しくなければ専門家とは言えないでしょう。
また「弁護士」も法律の専門家とは言い切れません。
各分野によって専門がわかれ、自分が専門としている分野以外は詳しくないのが一般的です。
「専門」という考え方とは別に「特権」というものも存在しています。
例えば、人の体にメスを入れられるのは「医師」だけの特権です。
「弁護士」にしか行うことができない「調査」という特権もあります。
これらのことを考えれば、専門家とは、
周囲の人間が思い込んだところが専門家か否かの境目
なのかもしれません。
専門家の言うことは正しいのか
この事実は、野球界においても言えることです。
業界の経験が長い「野球指導者」は、長くいたから「専門家」と言えるのでしょうか。
何らかのトレーナーの資格を持ったトレーナーは何の専門家でしょうか?
専門家と呼ばれる人が常に正しいとは言い切れませんし、何の分野の専門家であるのかを理解しなければいけません。
しかし、その境界線を正しく理解するためには、自分がある程度の知識と経験がなければ測ることはできません。
つまり、何が大切なのかというと
自分で考え、自分で検証し、答えを見出していくしかない
ということです。
特に人間の身体のことで言えば、完全に同じ人間は存在しません。
ある人間にあてはまっても、あなたには当てはまらないかもしれません。
それでも科学的根拠があると言われるのが、人間の分野における科学的根拠です(『そもそも人間の身体は科学しきれていませんよ? ~科学的根拠を求めた練習をする危険性~』)。
人の話を聞くなということではなく、必ず自分で考えるという作業を怠ってはいけないということです。
「左右対称」の話でも分かるように、一見正しい風のことでも、簡単におかしなところが見えてくるような事実はたくさん存在しています。
自分で検証することを忘れないようにしてください。